「三陸海宝漬」に込められた
技術と想い
有限会社中村家

岩手県釜石市に本社を構える有限会社中村家。その原点は、現社長の実家で営んでいた大衆食堂にあります。高校生の頃から料理に携わり始め、日本料理店での修行を経て、1975年に海鮮料理店「中村家」を開店しました。お客様の「持ち帰りたい」「贈りたい」という声に応える形で、通信販売を開始。その後、三陸の魚介類を中心に水産加工品の製造・販売を始めました。今では全国に知られる存在となっています。
三陸海宝漬が描く“海の風景”
三陸の豊かな海の幸を贅沢に盛り込んだ「三陸海宝漬」は、全国のお取り寄せや贈答品として高い人気を誇る逸品です。中村家の商品づくりのコンセプト「三陸の海を凝縮する」を体現した商品であり、年間約10万食が販売されています。
メカブは三陸の海そのもの、イクラは朝日に照らされた水面の輝き、アワビは水面に浮かぶ小舟――そんな三陸海岸の風景をひとつの器で表現しています。発売当初はタッパーに詰めて手渡していたというこの商品は、口コミで評判が広がり、今では全国の食卓に届く人気商品へと成長しました。三陸の海の恵みをそのまま味わえる一品として、メディアでも数多く取り上げられています。

アワビの“だまし煮”に込めた職人技
中村家の料理には、現社長が釜石で育った環境で得た体験が随所に活かされています。三陸海宝漬に使われているアワビの“だまし煮”は、まさにその象徴。子どもの頃、潮溜まりで見たアワビの動きから着想を得て、鍋の中に“海”を再現するかのように水・塩・酒を入れ、弱火でじっくりと煮ることで、アワビにストレスを与えず、旨味を閉じ込めたまま柔らかく仕上げる技法です。さらに、煮上がったアワビは形が崩れないように一つひとつ丁寧に手切りし、手作業で美しく盛り付けています。たとえ遠方のお客様でも、カウンターからお出しする“料理”という感覚を大切にしており、素材や調理には妥協せず、こだわりを持って作り続けています。

三陸の恵みを次世代へつなぐ取り組み
中村家は、三陸の海とともに歩み、地域の食文化と水産業を守り続けています。震災や漁獲の不安定、資材高騰などの困難にも立ち向かい、素材へのこだわりと丁寧な調理を貫いてきました。また、地域の水産業を守る「#シャケノベイビー運動」などの取り組みを通じて、三陸の恵みを次世代へつなぎ、地域への恩返しを胸に、変わらぬ“中村家の味”を届けていきます。
