“おふくろの味”にこだわり
食卓に懐かしさと新しさを届ける。
瀧口商店

宮城県東部、牡鹿半島の付け根に位置し、石巻市と女川町にまたがる万石浦(まんごくうら)。淡水と海水が混じり合うこの海は、古くから牡蠣や海苔の養殖が盛んな豊かで、『新古今和歌集』にも記録が残るほどの景勝地です。その万石浦のすぐそばに、牡蠣や海苔の佃煮などを手掛ける「瀧口商店」があります。瀧口商店の代表は地元で育ち、水産加工の現場で十数年の経験を積んだ後、2015年に創業しました。震災を乗り越え、海とともに歩む決意を胸に、瀧口商店では“おふくろの味”を大切にした商品を全国へ届けています。懐かしさと新しさを兼ね備えた味わいの商品には、技術と家庭の食卓で育まれた思い出がぎっしり詰まっています。
宮城の海の恵みを食卓へ
瀧口商店の看板商品は「牡蠣みそ煮」。幼い頃から親しんだ味を再現するため、試行錯誤を重ねました。その結果、「ごはんのお供にぴったり」「酒の肴にも最高」と評判に。そんな牡蠣の味噌煮を含む「宮城県産 牡蠣食べ比べセット」は、贅沢な味わいを楽しめる人気商品です。
また、海藻のスーパーフードとして注目される「あかもく」を使った「あかもくセット」もおすすめ。万石浦のあかもくは他地域と比べて粘りが強いのが特徴。ネバネバ、シャキシャキとした食感と栄養価の高さで近年話題のあかもくを、食べやすく加工する工夫は瀧口商店ならではです。さらに、海苔や昆布を自家製たれで煮込んだ旨味たっぷりの「海藻佃煮セット」も人気。最近では、地元企業とのコラボ商品も登場し、食卓に懐かしさと新しさを届けています。

“おふくろの味”に詰まった技術と想い
瀧口商店の商品づくりで理想にしているのは、ずばり“おふくろの味”。幼い頃から親しんだ牡蠣の味噌煮など素朴でやさしいおいしさを忠実に再現したいという思いがあります。しかし、その再現は簡単ではありませんでした。分量や火加減を記録しながら何度も試作を重ねる地道な努力が必要だったのです。さらに、加工が難しいあかもくも、細切りにして食感を活かすなど、手間を惜しまず工夫しています。こうした挑戦の積み重ねが、瀧口商店の商品のおいしさを支えています。

海と地域を未来へつなぐ
瀧口商店は、震災を経験し、海と地域への思いは深いものがあります。道の駅に商品を置かせてもらうことから始まり、今では仙台空港でも商品が並ぶまでに成長しました。これからは、全国の食卓に“おふくろの味”を届けるだけでなく、若い世代が水産業に関わるきっかけをつくりたいと考えています。地元大学との連携で学生の商品開発を支援したり、他社とのコラボで新商品を生み出すなど、地域の水産業を未来につなぐ取り組みにも力を入れています。こうした地域の未来を守るために、伝統と革新を両立させながら、海の恵みを活かした商品づくりを続けていきます。
